さよならのかわりに
明るい話題ではないし、読むとしんどくなるだろうから迷ったけれど、
TLにも何度か写真をあげたりしてたし、個人的にも残しておきたいなと思ったので書いておきます。
2021年3月24日、
約2年間 一緒に過ごしたハムスターを見送った。
年齢は2歳4ヶ月。
寿命というよりは病気が原因だと思う。
右耳の奥に膿の袋のようなものが出来てしまったらしく、取り除くことは不可能で、薬で対処してたけど、結局私が最初に病院に連れていってから10日しかもたなかった。
この10日は、あまりにも短かった。
それまでは年齢の割に運動もしてたし、ご飯も普通に食べていたのに、だんだんと自力でご飯を食べられなくなり、動かずじっとしているようになった。
2回目の病院に行くまでの1週間で体重がガクッと落ちた。
「このままじゃ危ない」と飲み薬の栄養剤をもらったけれど、
その時には「来週また来てください」とは言われなくて、あぁもうこれ以上出来る処置はないんだろうなということを悟った。
水も、ご飯も、自力では口にしようとしないけど、すり潰してペーストにしたり、ものすごく小さく切って口元に持っていくと食べてくれたから、食欲があることにホッとしていた。
呼びかけても反応が薄い(恐らく聴こえてない)ことが多くて、いろいろ考えた結果、息を吹きかけて存在を教えるのが一番効果があった。
右耳は、素人目にも分かるほど日に日に腫れて、最終的には黒く壊死したようになってしまった。
痛みがあるのか、感覚はあるのか、それすらも分からなかったけれど、見ていてすごく痛々しかった。
最期の日の前日の夜、いつものようにパーカーのお腹のところに彼を入れて3〜4時間くらいずっと一緒に過ごした。
彼が起きてきたら部屋に戻そうと思ってたけど全然起きる気配がないまま私が寝る時間が来てしまったので、名残惜しいなと思いつつ部屋に帰した。
そしたら、これまでの元気のなさが嘘のようにすごく活発になって。
ご飯も、それまでずっと柔らかいものしか口にしなかったのに、固形のチーズを、そのまま手に持って食べ始めて。
ビックリした。
何が原因か分からないけど、食欲が戻ったのも、ちょっとだけ元気になったのも、心の底からホッとした。
最期の日の朝も、変わらず食欲があって、母と「峠は越えたのかな」なんて話していた。
でもお昼頃、寝ていた彼が突然、ひっくり返って苦しそうにもがき始めて。
慌てて身体を戻してあげたけど、それから明らかに様子が変わった。
いま思えば、あれは死ぬ前の痙攣だったのかなと思う。
部屋から出し、彼の好きなブランケットの上に乗せると、その上をふらふらと落ち着きなく歩き回り、止まり、歩き、また止まり……を繰り返すようになった。
足のふらつきはこれまでも多少あったけど、足じゃなくて彼自身がふらついているような、いま自分がどこにいるのかすら分かってないような、そんな感じの動きだった。
ご飯をあげたら少しは落ち着くかなと思って彼の好物のイチゴを小さく切ってあげようとしたけど、どんなに近くに持っていても食べようとはしなかった。
朝までは、口元に持っていったら食べたのに。
今は食べる気分じゃないだけなんだろうなって自分に言い聞かせて彼を部屋に戻したら、充電が切れたみたいに眠り始めた。
呼吸がとにかく小さくて、じっと見ないと息をしてるかどうか確かめられなかった。
それからは、10分おきくらいに彼の様子を確かめながら仕事をした。在宅勤務で本当に良かった。
一度、ガサガサッと音がしたから慌てて覗くと後ろ足で顔を掻き、そのまま足を上げて寝る彼の姿が見えた。
豪快な寝相だなってちょっと笑って、仕事に戻った。
その10分後に覗いたとき、
寝ていたはずの彼の目が開いていた。
嫌な予感がして、急いで彼の身体に触れた。
いつも呼ぶ時しているように息も吹きかけてみたけど、ヒゲも鼻も動かない。
軽く身体を揺らしてみたり、頬のあたりを撫でてみたりしたけど一切反応はない。
目は開いたまま。
心配した母が「お水持ってこようか?」「毛布持ってこようか?」と言っているのに返事をしたかったけど、言葉が喉でつっかえて出てこなかった。
もういらない、大丈夫。
伝えたいことはそれだったけど、
口には出せなかった。
「……息してないの?」と聞かれて、頷くのが精一杯だった。
力の入っていない彼の身体を抱き上げて、布で拭いてあげた。
最期の方は自力で毛づくろいもあまりできていなくて、口元や手が汚れてしまっていた。
もともとは綺麗好きな動物だから、それもすごくストレスだっただろうな……
2〜3年が寿命であることはもともと分かっていたし、彼が弱り始めてからは、こういう日が遅かれ早かれ来ることはずっと覚悟していたけど、やっぱりいざ目の当たりにするとこんなにも苦しいんだな。
基本的には臆病で人見知りだったけれど、私と母にはベッタリで、撫でられるのが好きな子だった。
よく私のお腹の上や足の間に挟まって寝ていた。
まるで犬みたいに横向きだったり仰向けにお腹出して寝てることも多くて、小動物なのにそんな危機感なくて大丈夫か…?ってこっちが勝手に心配してたけど、それだけ安心してくれてるのかなとも思えて嬉しかった。
2年間、ほぼ毎日彼と過ごした夜の時間がぽっかりと空いてしまって寂しい。
夜ってこんなに時間があったんだなぁって、彼が齧って開けたパーカーの穴を見ながらぼんやり思う。
一日でも長く生きていてほしいと願うのは私のエゴだけれど、不自由な耳を抱えてほとんど動かずじっとしてただ息をするだけの日々が彼にとってどれくらいツライものだったのか私には分からないから、そういう日々が短くて済んだのは、彼にとっては良かったのかなぁなんてことを考える。
でも「彼は幸せだったと思うよ」と周りに言われると、本当にそうなのかな?って思ってしまって胸が苦しくなる。
私が、耳の異変にもっと早く気付いていたら。
もしかしたら、もっと違う対処方法ができたんじゃないか。
もっと進行を遅らせたり、なるべく苦しくない方法があったんじゃないか。
言葉を喋れない彼の異変に気付けるのは私しかいないのに、私のせいで彼が余計に苦しむことになったんじゃないか。
そう思うと、彼に申し訳ないし、自分の不甲斐なさがツライ。
だから彼が少しでも「ここに来て幸せだった」と思ってくれていたら嬉しいなと思う。
さよならのかわりに、
幸せな時間を過ごさせてくれてありがとう。
https://open.spotify.com/track/6G2yz0BnurSnXgeCE7JTJZ?si=_jLYtbDvRLitsnLgzhTDdg
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・